決して手を抜くな!

  中小企業診断士は、経営者座談会の司会を行うこともあります。貴重な体験をしましたので、参考にして下さるようお願いします。


連休? 仕事は別ですよ

 創業経営者と3代目経営者の座談会の司会です。昨年10月連休後の18日に行う座談会のため、3人で打合せをすることにしました。「連休の最中しか日程が取れないので10月11日に行う」と経営者達から電話があり、当方も調整してあわせました。10月9日までの数日間に両方から郵送とメール添付ファイルで幾つもの資料が送られ「事前にお読みなっておいてください」との添え書きがありました。

 官庁、研究団体そして経済団体の調査一次資料の多くは、WEB上から収集したもので、両社が属する業界状況を分りやすく説明しています。社内資料は、ここまで開示して良いのかと思う計数を中心とした内容で、さすがに「当資料は、座談会終了後には回収します」とありました。


 事前の準備は怠りなく

 10月11日打合せ場所に定刻前に行きましたところ、すでにお二人はお揃いで、打合せをしておりました。その場では、当日2時間の中でどのような話しをお二人がされるのか、どちらが先に話すのか、結末はどうするか、配布するレジメはどうするのかなどを話し合い、レジメは16日までに当方へ届けることになりました。


 16日になり、創業経営者からは2枚の資料が送られて来ました。その2枚を3代目経営者へ送信したところ、3枚資料が送られて来ましたので、そのことを創業経営者に伝えたところ、近県の会合で話す予定の原稿15枚が送られてきて「当日、会場で配布してください」との伝言つきです。3代目経営者に追加資料の有無を問い合わせたところ、「当社の仕事を説明した資料」を当日PCを持ち込みプロジェクターで映写したいとのことです。このように、両者の力の入れようは、限りがありませんでした。


 当日の最後まで手を入れろ!

 当日18日午前に他用を済ませ、会場に行く電車の中で携帯電話が鳴り、「今、二人で会場の喫茶店にいますが、来られませんか?」とのことで、一緒に昼ごはんでもとりながら、打合せをしたいとのことです。喫茶店に行きますと、3代目経営者が先に話すことに変更になっており、創業経営者は、「自分は余った時間内で話すから」司会よろしくということになりました。

 さらに、当方に「質問はないか」と投げかけて、意見を取り込んでいます。


 年齢は、意欲や能力に影響しない!

 座談会には、会場に溢れるばかりの聴衆が集まり盛会でした。最後に今までの経緯を報告しながら、「決して手を抜くな!」という生き様を学んだとまとめました。創業経営者は80歳近く、3代目経営者は70歳台、年齢が意欲や能力に影響を与えることがまったくない実例でした。この年齢と言っては、エイジ・ハラスメントになるかもしれませんが、ご自身でWEBを駈け巡って一次資料は集めたことも紹介しました。社内資料は、担当者が整理をしたものです。しかし、当日会場に来られた方にお話をお聞きすると、「社内システムの目的・目標」については、もちろん経営者の意見を取り込んだものとのことです。米国では、雇用における年齢差別禁止法(ADEA)が制定された1960年代に定年制は廃止されています。入社面接の際に、年齢を聞いたがために労働問題に発展した日系企業もありました。この根本は、「年齢と能力や意欲」は関係しないとの考えです。ご両人は、この見事な見本でした。

                                    ITコーディネーター 窪田靖彦

経営者が講演会で話したことをまとめた本

 この本の特徴は、経営者である著者が自身で考えていることを顧客を招いて講演会を開いて、説明してきたことをまとめたことです(注1)。小生はITコーディネーターも兼ねた中小企業診断士ですが、長く支援しているIT関連などの経営者には、著者と同じように経営者自身の考えを外部に発信することを勧めています。発信することにより、経営者自身が経営の先頭にたっていることをあらためて自覚し、従業員はこんな考えで経営しているのだと経営理念を理解し、顧客を含めた関係者もその考えに賛同して仕事をお互いに協力することに結びつくからです。もちろん、著者のように講演会を開き、顧客と直接話し合う機会をもつことは、企業の規模にかかわらず顧客と経営者が互を理解する上で有効な方法です。小生が勧めた経営者は、自社会議室で取引先を含む十人程度を前に「当社の今までとこれから」を説明するよう準備しています。結果を楽しみにしています

 現在では便利にそして身近になったITを活用して、外部に発信することは、費用も手間も講演会を開くほどかからずにできるので、規模の大小を問わずに経営者は大いに活用されたらと思います。この拙文をご覧になった経営者の方が、ITを活用し外部にお考えを出されることを期待しています。

 

”短納期かつ高品質”の両立はする!?

 もう一つの特徴は、「ソフトウェア開発の生産技術革新への提案」(注2)と題して、ソフトウェア開発の生産技術革新を「徹底的な開発の自動化」と「膨大なデジタル資産の活用」の2つの方法が強力に進めるとして、提案しています。「徹底的な開発の自動化」のソリューション(解決策)として「TERASOLUNA」という総合解決策を開発し、発展させてきたとしています。この総合解決策は、ソフトウェア開発ではトレードオフの関係(両立しない相互の関係)と思える”短納期かつ高品質”を実現するとしています。ソフトウェア開発に限らず、どのような事業でもサービス提供業にあっても、”短納期かつ高品質”の両立は難しいことではないかと思います。当然ながら、この部分は著者が経営する企業の秘密でもあるので、実にアッサリと書いてあります。QCD(品質、コスト、納期)は製造業の生産管理の重要な要素を指していますが、C(コスト)がどの程度になるのかが実際には関心があるまると思います。この常識をこえた背景には「膨大なデジタル資産の活用」(注3)があり、製造業では使われている方法でもあるので、参考になると思います。

 

経営者はITを道具として使え

 1980年アメリカ未来学者A.トフラーが出した「第三の波」を引用し、今は人類は情報通信革命の真っ只中に置かれているとしています(注4)。いつでも、どこからでも、求められる情報へ瞬時にアクセス(情報システムや情報倍対に接触したり、接続すること)することができるようになり、また、世界中の人々とコミュニケーションがとれるようになったとしています。このような中、著者は経営者には本質的に「自分はこのような企業をつくり、社会にこのような価値を提供したい」という「やりたいこと」があるはずだ、これを目的にすれば、ITはその目的を達成するための手段とよぶのがふさわしい」と言っています。ソフトウェアを導入するのに選択肢がありますが、「どの技術に自分たちの事業を合わせていくのか」ではなく「自分たちの事業にどの技術を合わせるか」と考えることが大事だと言っています。技術の発展に遅れてはならじではなく、経営にとってどの技術が必要かを考えてみる、例えば加工機器を導入する場合と全く同じとも言えます。

 

「リマーケティング」をやったら良い

 著者自身が「やりたいこと」として「リマーケティング」を上げています(注5)。マーケティングとは、消費者の需要に創造的に適応するための市場活動と言われています。著者は「リマーケティング」とは、「現在の市場や顧客に照らし合わせて、攻略すべきかどうかを再検討することである」とし、「当時できなかったサービスをITそのものの進化という技術革新を武器に、新しい切り口で再提案する」ことを「リマーケティング」としています。提案した当時は大きなリスクもあるが、大きなリターンもありそうな事案で、マーケティングの結果その事業を諦めた言ったものを再検討したらどうだとの提案です。

 「一昔前と現在とでは状況は大きく異なってくる。…。そしてスマートフォンやクラウドコンピューティングやビッグデータの台頭というITの進化もある。…、当時できなかったサービスをITそのものの進化という技術革新を武器に、新しい切り口で再提案をする機会を捨ててはならない」と主張しています。小生は、一昔前に販売先が多数で特定できる業種に、個々の販売先の売上実績詳細を収集し、市場占有状況を捉えて方針を立てる提案をしました。しかし、適切な電子端末がないこと等から保留されたことを思い出します。機会があれば、再提案したいと思っています。

 

書籍の紹介:「IT幸福論」発行:東洋経済新報社 著者:岩本敏雄

引用した頁数は、次のとおりです。注1:2頁 注2:200頁 注3:205頁 注4:15頁 注5:223頁 

ITコーディネーター 窪田靖彦





経営者が講演会で話したことをまとめた本

 この本の特徴は、経営者である著者が自身で考えていることを顧客を招いて講演会を開いて、説明してきたことをまとめたことです(注1)。小生はITコーディネーターも兼ねた中小企業診断士ですが、長く支援しているIT関連などの経営者には、著者と同じように経営者自身の考えを外部に発信することを勧めています。発信することにより、経営者自身が経営の先頭にたっていることをあらためて自覚し、従業員はこんな考えで経営しているのだと経営理念を理解し、顧客を含めた関係者もその考えに賛同して仕事をお互いに協力することに結びつくからです。もちろん、著者のように講演会を開き、顧客と直接話し合う機会をもつことは、企業の規模にかかわらず顧客と経営者が互を理解する上で有効な方法です。小生が勧めた経営者は、自社会議室で取引先を含む十人程度を前に「当社の今までとこれから」を説明するよう準備しています。結果を楽しみにしています

 現在では便利にそして身近になったITを活用して、外部に発信することは、費用も手間も講演会を開くほどかからずにできるので、規模の大小を問わずに経営者は大いに活用されたらと思います。この拙文をご覧になった経営者の方が、ITを活用し外部にお考えを出されることを期待しています。

 

”短納期かつ高品質”の両立はする!?

 もう一つの特徴は、「ソフトウェア開発の生産技術革新への提案」(注2)と題して、ソフトウェア開発の生産技術革新を「徹底的な開発の自動化」と「膨大なデジタル資産の活用」の2つの方法が強力に進めるとして、提案しています。「徹底的な開発の自動化」のソリューション(解決策)として「TERASOLUNA」という総合解決策を開発し、発展させてきたとしています。この総合解決策は、ソフトウェア開発ではトレードオフの関係(両立しない相互の関係)と思える”短納期かつ高品質”を実現するとしています。ソフトウェア開発に限らず、どのような事業でもサービス提供業にあっても、”短納期かつ高品質”の両立は難しいことではないかと思います。当然ながら、この部分は著者が経営する企業の秘密でもあるので、実にアッサリと書いてあります。QCD(品質、コスト、納期)は製造業の生産管理の重要な要素を指していますが、C(コスト)がどの程度になるのかが実際には関心があるまると思います。この常識をこえた背景には「膨大なデジタル資産の活用」(注3)があり、製造業では使われている方法でもあるので、参考になると思います。

 

経営者はITを道具として使え

 1980年アメリカ未来学者A.トフラーが出した「第三の波」を引用し、今は人類は情報通信革命の真っ只中に置かれているとしています(注4)。いつでも、どこからでも、求められる情報へ瞬時にアクセス(情報システムや情報倍対に接触したり、接続すること)することができるようになり、また、世界中の人々とコミュニケーションがとれるようになったとしています。このような中、著者は経営者には本質的に「自分はこのような企業をつくり、社会にこのような価値を提供したい」という「やりたいこと」があるはずだ、これを目的にすれば、ITはその目的を達成するための手段とよぶのがふさわしい」と言っています。ソフトウェアを導入するのに選択肢がありますが、「どの技術に自分たちの事業を合わせていくのか」ではなく「自分たちの事業にどの技術を合わせるか」と考えることが大事だと言っています。技術の発展に遅れてはならじではなく、経営にとってどの技術が必要かを考えてみる、例えば加工機器を導入する場合と全く同じとも言えます。

 

「リマーケティング」をやったら良い

 著者自身が「やりたいこと」として「リマーケティング」を上げています(注5)。マーケティングとは、消費者の需要に創造的に適応するための市場活動と言われています。著者は「リマーケティング」とは、「現在の市場や顧客に照らし合わせて、攻略すべきかどうかを再検討することである」とし、「当時できなかったサービスをITそのものの進化という技術革新を武器に、新しい切り口で再提案する」ことを「リマーケティング」としています。提案した当時は大きなリスクもあるが、大きなリターンもありそうな事案で、マーケティングの結果その事業を諦めた言ったものを再検討したらどうだとの提案です。

 「一昔前と現在とでは状況は大きく異なってくる。…。そしてスマートフォンやクラウドコンピューティングやビッグデータの台頭というITの進化もある。…、当時できなかったサービスをITそのものの進化という技術革新を武器に、新しい切り口で再提案をする機会を捨ててはならない」と主張しています。小生は、一昔前に販売先が多数で特定できる業種に、個々の販売先の売上実績詳細を収集し、市場占有状況を捉えて方針を立てる提案をしました。しかし、適切な電子端末がないこと等から保留されたことを思い出します。機会があれば、再提案したいと思っています。

 

書籍の紹介:「IT幸福論」発行:東洋経済新報社 著者:岩本敏雄

引用した頁数は、次のとおりです。注1:2頁 注2:200頁 注3:205頁 注4:15頁 注5:223頁 

ITコーディネーター 窪田靖彦