物流の2024年問題を引き起こした真犯人は誰だ?

私は総合物流企業に勤務する企業内診断士です。勤務先は大田市場の近くで、毎日バスの中から海上コンテナを牽引する大型車両を見ながら通勤しています。

 

ところで皆さんは菅原文太さん主演の映画「トラック野郎」をご存知ですか?トラックドライバーを主人公にした映画です。昔は「3年走れば家が建つ」と言われるほどトラックドライバーはブルーカラーの花形職だったのです。そんな映画の主人公になるような憧れだった職業が、今は長時間労働・低賃金の職業に落ちてしまいました。

 

物流の2024年問題は「ドライバーの長時間労働を政府が主導して働き方改革により就業環境を改善する」というかたちで語られることが多いと思います。国が救世主のように見える方もいるかもしれませんが、業界の人たちの多くは「国が長時間労働の原因を作っておいて、その解決策を目に見える残業時間だけとらえて対策を立てる?違うだろ・・・」という感じです。

 

この問題を引き起こした原因は1990年にさかのぼります。物流二法と言われる法の施行です。これにより、それまでの「免許」制が「許可」制に変わり、約4万社だった運送会社が約6万4千社に激増しました。運送会社の激増により、過当競争が始まり、運賃が下がり、ドライバーの賃金も下がるという負のスパイラルが起きてしまったのです。過当競争で下がった賃金を、運送会社は労働時間を増やすことで穴埋めしていった、つまりドライバーにとっては残業代が生活費の一部となったのです。そんな状況下で今度は政府が「残業するな」と残業規制しようとしているわけです。

 

もちろん競争が激しくなる中で、差別化を図らず、顧客の言われるままに「何でもやります、安くやります」と仕事を受け続けてきた運送会社側にも問題はあります。この話を始めると終わらなくなってしまいますので、このコラムでは2024年問題の原因ということにとどめて終わりにしたいと思います。

 

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(髙田 浩一郎)