「2024年版中小企業白書・小規模企業白書」が5月に公表されました。中小企業・小規模事業者の動向として、10のテーマにつき記載されていますが、その最初が「能登半島地震と中小企業のBCP(*1)策定の状況」です。
元旦に襲った震災の衝撃は記憶に新しいところですし、今や日本各地のどこで自然災害が起きても不思議でない状況です。大田区にも洪水や地震など災害リスクの高い区域はあり、リンクの「大田区防災ハザードマップ」も参照いただきながら、災害への意識を高めておきたいところです。
https://www.city.ota.tokyo.jp/seikatsu/chiiki/bousai/suigai/hazardmap.html
白書の中で、BCPを策定する企業は増加傾向にあるとは記載されていますが、中小企業のBCP策定率は15.3%(2023年)に留まっています。一方で、策定による効果は「従業員のリスクに対する意識向上」がトップですが、それに続くのが「事業の優先順位が明確になった」「業務の定型化・マニュアル化が進んだ」「業務の改善・効率化につながった」となっています。これらは災害時に限らず、平常時のオペレーションにおいても非常に有効なものと考えられます。
では、効果があるにも関わらず、策定率が15%に留まっている理由は何でしょうか?某データバンクによるアンケート結果を分析すると、「BCP策定の必要性は感じつつ、スキル・ノウハウやリソース不足により策定できない」と言えそうです。その対応策の1つとして「大田区簡易版BCPシート」をご紹介します。これは大田区が区内の地域特性・産業特性を踏まえ、中小企業・小規模事業者様も気軽に取り組むことのできるように、と作成されたものです。
https://www.city.ota.tokyo.jp/sangyo/topics/bcp_sheet.html
不測の自然災害などに遭遇しても、従業員の安全・安心を確保しつつ、事業継続が図れる仕組を構築しておくことも経営者の責務の1つ、として検討いただければと思います。
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(*1)Business Continuity Plan:事業継続計画
企業が自然災害などの緊急事態に遭遇した場合、事業資産の損害を最小限にとどめつつ、事業の継続や早期復旧を可能とするため、取り決めておく活動計画
(加藤 裕之)