資金繰りの把握、対策の重要性

円安、物価高騰による経費高騰、人手不足、つい最近では株価の急激な暴落と上昇と経営を取り巻く環境は不透明で厳しい状況が続いています。この様な環境下、いつの間にか資金に余裕が無くなっている、という状況に陥ってしまう事業者をお見受けします。余裕が無くなってからどうしよう?にならない様に「資金繰り対策」を強くお薦めします。

 

資金繰りとは、お金の入りと払い、収入と支出の「量」と「タイミング」の状態で、これを管理して、支払いに困らない様にしておくことが資金繰り対策になります。

 

なぜ、資金繰りは、重要なのでしょうか。あまり、わかっていなくても長年の勘、経験則で事業は進められると思われている事業者の方もおられると思います。ただ、環境変化が激しい時代に経験則や勘だけでは、どこかで壁にぶつかると思われます。資金繰りが重要なのは、「利益が黒字でも資金不足になる」という「黒字倒産のケース」があるからです。

 

ある販売業者の例でいきます。ある月のお金の出入りです。手元資金はゼロだとします。

 ①10日に売上500円、うち現金売上200円即日入金、残り300円は掛け

 

1ヶ月後の入金

 ②15日に仕入れ支払い、200円 現金支払い

 ③25日に給与支払い100円

 

この月の損益は「①売上500円 −(②仕入れ支払い200円 + ③給与200円)= +100円」となり、+100円の黒字です。

 

しかしながら、③の給与支払い時に、手元現金がゼロで給与支払いが出来ないです。実は①の売上時に掛け売りで上げた分300円は1か月後の入金になるため、実際に、売上計上時の10日には現金が200円手元にある状態です。これを15日の仕入れ支払いで使い、25日の給与支払い時点では、現金ゼロになってしまいます。これが「黒字倒産のケース」です。実際にこのような倒産が起きていますので要注意です。現金の入金・支払いの「量」と「タイミング」を把握し管理していく事が重要なのです。その対策として「資金繰り表を作成する」、「入金・支払いの条件を見直す」、「経費を削減する」、「資金調達を行う」等、幾つも対策があります。困ったことが有れば、是非、この分野のエキスパートがいる中小企業診断士にご気軽にご相談願います。

 

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(山本 和男)